研究論文に見る空き家の現状とこれから

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空き家が増加した地域には、人口減による生活の利便性の低下、景観や治安の悪化などの懸念があります。

少子高齢化に伴って進展する空き家問題解決の方策として、高度成長期に都市周辺部に拡大した宅地行政を見直し、
集約型都市への転換が図られようとしています。

中心市街地の機能をより強化し、郊外の市街地を農地や緑地など非市街地へ転換する「スマートシュリンク」(賢い縮退)
という概念で、今注目されています。


1.数理モデルで捉えた空き家問題

広島大学と科学技術振興機構(JST)の共同研究成果に、以下気になる分析結果がありました。

現実的に考えられる税金政策として「空き家処分の補助金政策」、「土地に関わる固定資産税軽減政策」、
「住宅(空き家)における固定資産税特例措置の撤廃政策」について有効性を調べた結果、
地域の人口分布や経済力によって政策の効果が異なることを発見しました。

グラフから、空き家処分の補助金の金額が上がるほど、都市部よりも郊外において空き家率が下がること。
土地の固定資産税が軽減されると郊外よりも都市部における空き家率が下がること。
住宅(空き家)における固定資産税特例措置の撤廃は、
郊外よりも都市部のほうが若干空き家率軽減に寄与することがわかります。

今後100年間空き家政策を実施しなかった場合の自治体の財政状況を見ると、都市部は若干の赤字に留まり、
郊外地域は悪化する傾向が見えます。

一方で、補助金を上げた場合、田舎は自治体も黒字財政になりますが、
都会の場合は大半が赤字財政をもたらすことがわかります。

また空き家の有効活用対策を推し進めることは、将来的に都心部の居住地を減らしてしまう可能性があります。

広域に渡ってインフラ整備を行う必要がある自治体においては、将来的に大きな財政圧迫の可能性があります。
しかし、空き家の有効活用において競争度を考慮した政策を税金政策と一緒に行えば、
空き家を減らすと同時に自治体の財政に一層有利になる空間政策が可能であることを発見しました。


2.移住者を呼び込む空き家対策事例

富士通総研(FRI)経済研究所の論文に、興味深い事例が紹介されています。
一つは高齢化と人口減少が深刻な大分県竹田市の例です。

竹田市では移住者へのワンストップサービスを行う農村回帰支援センターを設置し、改修費の補助、
お試し暮らし助成金、集落支援員の配置などの移住促進策に取組んでいます。

中でも特徴的な施策は、竹工芸・紙漉き・陶芸などの分野で、
空き家・空き店舗を利用して起業する場合の補助制度(最大100万円)です。

移住者を募る場合にネックになるのが、職の確保ですが、既に手に職のある人にターゲットを絞って移住してもらうことにより、
この問題を解決しようというものです。

また、竹田市では、移住者に提供する空き家の物件登録を増やすため、売却または貸し出した場合、
成約時に10万円を支給するという空き家所有者へのインセンティブも創設しました。

これによって空き家バンクへの登録が増加する効果が見られたといいます。
空き家所有者が物件を出し渋る要因の一つに仏壇や家財道具の処分があるという調査結果もありますが、
このようなインセンティブを設けることで、空き家の所有者が売却、
賃貸化に踏み切る決断の後押しをすることは可能と考えられます。

職は用意できないので初めから手に職を持っている人に来てもらうという発想は、島根県江津市でも共通しています。
江津市では、改修費の補助のほか、ビジネスプランコンテストを実施して人材を発掘、
インキュベーション施設(共同オフィス)を設置し、UIターン希望者と地元の人材が交流するNPO法人
「てごねっと岩見」を設立しました。

過疎地域の空き家活用については、このように地域活性化を同時に達成しようとする仕組みが登場し、成果も出始めています。

3.今後の空き家対策への提言

今後、空き家の増加に歯止めをかけるには、空き家を含む中古住宅の利活用を促すように、
新築よりも中古を買った方が得になる仕組みに変えていく必要があります。

自治体によっては独自に中古住宅を購入した場合の改修費を補助していますが、
国レベルでもそうした仕組みを設けることが望ましいと思われます。

住宅ローン減税などで、新築よりも中古を購入したほうが手厚くなる仕組みに変えていくことも効果的であると考えます。





 

 

空き家なうでは今後も空き家に関する情報、体験談をアップしていきます。
どうぞお楽しみに。

 

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