隣家が空き家でも越境してきた庭木を切ってはいけない

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隣家の庭木の枝や根が我が家に越境してきて迷惑している。

人家が密集しているところでは、珍しくない話ですね。
落ち葉が雨樋に詰まる、枝が屋根などに当たって壊れる恐れがある、枝葉が生い茂って日当たりが悪い――など被害の内容も多様です。

隣家とトラブルになって、裁判沙汰になる例も珍しくはありません。


1. 隣家が空き家の場合

迷惑の元になっている隣家が空き家の場合は、事情はより深刻になります。
空き家の所有者がハッキリしているのならまだしも、不明なケースもあるからです。

空き家の庭に関する問題解決に取り組んでいる「全国造園業・空き家問題対策協会」によると、会員が依頼される庭木の剪定・伐採などの工事のうち、10%超が空き家に関するものだといいます。

総務省が昨年発表した「住宅・土地統計調査」による空き家率が13.6%ですから、符合していますね。


2. 法律はどうなっているのでしょう?

隣家から越境している庭木について、法律はどうなっているのでしょうか?
基本は、民法第233条に書かれています。

(竹木の枝の切除及び根の切取り)

第233条「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」

第233条2項「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」

文面どおりに解釈すると「枝は勝手に切れないが、根は切れる」ことになります。

しかし、現実はそう簡単ではありません。
隣家の許可を得られない場合もありますし、「根ならいいだろう」と勝手に切って、それが原因で庭木が枯れてしまったら、損害賠償を求められる可能性もあります。

隣家が空き家の場合、所有者がわかっていても遠くに住んでいたり、空き家を放置して全く管理する気がないケースもありますから、厄介です。

また、所有者が不明の場合,法務局などで所有者探しから始めなくてはいけませんから、余計に厄介です。

民法には、このほか次のような規定もありますが、こんな法律に頼らないといけないケースとなると、もうプロの出番と言えるでしょう。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第717条「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の所有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」

第717条2項「前項の規定は、竹木の植栽又は支持に瑕疵がある場合について準用する」

2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」には、空き家に対する行政代執行の規定も盛り込まれていますが、空き家の存在による危険が予測され被害が広範囲に及ぶ場合が想定されているので、庭木の越境程度では動いてもらえないでしょう。


3. 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案

法制審議会が標題のような中間試案について、2020年1月10日~3月10日にパブリックコメントを募っています。

この中で、現在「空き家の所有者にお願いして切ってもらう」と規定されているのを「空き家の所有者以外も切ることができる」に改正される案が盛り込まれています。

民法第233条第1項(案)

「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、土地所有者は;

・甲案「自ら、その枝を切り取ることができる」

・乙案「次に掲げる時は、自らその枝を切り取ることができる」

 a)竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、「相当の期間内に切除されないとき」

 b)「竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」

 c)急迫の事情があるとき

この案が実現すれば、空き家の庭木の越境を巡るトラブル解決にプラスになることが予想されますが、まず法律ありきではなく、人と人とのコミュニケーションが大切であることに変わりはありません。

 

 

空き家なうでは今後も空き家に関する情報、体験談をアップしていきます。
どうぞお楽しみに。

 

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