所有者が責任を果たさない危険な空き家の行政代執行

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テレビや新聞で、倒壊しそうで危険な空き家を市町村が所有者に代わって解体するニュースがよく報じられます。

法律用語では行政代執行と言い、この根拠となる「行政代執行法」は1948年(昭和23年)に施行された古い法律です。

かつては土地収用法や建築基準法に関連する行政代執行が多かったのですが、最近よく話題になる空き家を巡る行政代執行は、2015年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家特措法)に基づくものです。


1. 空家特措法と行政代執行

空き家を管理する責任は本来、所有者にあります。

所有者がその責任を果たさないため、近隣に迷惑をかける恐れがあり、しかも緊急性のある場合、市町村などの自治体は空き家特措法に基づき「特定空家等」に指定できます。

そして次のような手順を踏んでも解決されない時は、最後の手段として行政代執行が行われます。

なお所有者が特定できていないケースでは「略式代執行」と呼ばれます。

特定空家等に指定



助言または指導



勧告



命令



行政代執行

勧告の段階では、住宅用地特例の対象から除外され、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。



2. 特定空家等に関するガイドライン

空き家がどんな状態になると特定空家等に指定される可能性があるのか、国土交通省によりガイドラインが公開されています。

(1) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

(2) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

(3) 適切な管理の行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

(4) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

少し表現が抽象的ですが、それぞれの項目について、ガイドラインでは具体的な例が示されています。


3. 行政代執行の状況

では、特措法の施行後、どの程度の空き家が特定空家等に指定され、代執行が実行に移されたのでしょうか。

国交省が2019年10月1日の時点で1,741市区町村を対象に行った調査「管理不全の空き家の除却等の状況」によると、特定空家等として把握されたのは2万4,000物件。

このうち市区町村の取り組みにより除却等が行われた特定空家等は7,552物件。

最終的に行政代執行(略式代執行を含む)にまで至ったのは196物件でした。

この時点で特定空家等が1万6,000物件以上も残っていることになります。

また、特定空家等に指定されることなく除却された「管理不全の空き家」が6万9,340物件もあり、実際に代執行にまで進んだ件数は低いということができます。


4. 空家法による代執行の例

国交省が発表している事例から、行政代執行と略式代執行を1例ずつ紹介しましょう。

➀北海道旭川市
2008年ごろ、市が近隣住民から通報を受け、解体などの措置を働きかけたが、経済的な理由で危険状態を放置。

2017年3月、積雪により屋根の一部が崩落したため、放置すると危険と判断した市が同年12月に除却の行政代執行を実施しました。

最初の通報から除却実施まで9年かかっています。
費用は約410万円。回収は差し押さえと公売によりました。

➁千葉県香取市
2005年に店舗併用住宅が火事に被災後放置され、屋根材や外壁材が飛散し外壁の一部が傾斜。

2016年、近隣住民から津法を受けた市が所有者の死亡と相続人(15人)を確認。

家庭裁判所への照会から「相続放棄、相続財産管理人の専任なし」の回答を受け、「このまま放置すると倒壊は不可避」と判断して、2017年5月に建物の除却の略式代執行を実施しました。

この案件は通報から代執行まで1年しかかかっていませんが、放置空き家になってからは10年以上を経過しています。
費用は約300万円。財産管理制度の活用で回収されました。

なお財産管理制度は、所有者の行方がわからなかったり、相続人を確定できない場合などで、改定裁判所が専任した財産管理人が当事者に代わって財産の保存や売却などを行える制度です。

空き家なうでは今後も空き家に関する情報、体験談をアップしていきます。
どうぞお楽しみに。

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