空き家の換気はなぜ必要なのか？

公開 2022年11月2日

空き家の換気は、建物のメインテナンスに欠かせない維持管理方法です。
空き家に換気が必要な理由は、風通しを良くすることで建物の劣化を防ぐことができるためです。
誰も住まなくなった家は風が通らないため、空気がよどみ、湿気やホコリが溜まります。
湿気やホコリが溜まっている環境は、カビや害虫の温床となり、人への健康被害はもちろん、建物への甚大な被害要因となります。
特に湿気の多くなる季節は、事前に対策しておかないと、被害が予想以上に拡大する傾向があります。
換気は建物の資産価値を守るために必要なメインテナンスとなります。

1．換気不足で発生するカビの空き家への影響

空気が回らず家中に根を下ろしたカビは、柱や床、壁だけではなく、目の見えない建材へも浸食します。
そして木材の腐食やシロアリを発生させ、どんどん建物を蝕んでいきます。
特に建物を支える建材に被害が及んだ場合、耐久性が弱くなり、最悪の場合は倒壊の可能性もでてきます。
また物理的な被害だけでなく、胞子を大量に含んだ住宅環境は、シックハウス症候群に代表されるような喘息や皮膚炎などを引き起こす原因となりえます。
仮に空き家をうまく売却できても、目に見えない場所の管理不足によっては、売却後に責任を取らされる可能性もあります。

2．空き家を換気する際の注意点

空き家の換気にはいくつかの注意点があるので、特に長期間放置している建物については、ポイントを押さえた対応をします。

＜近隣住民への配慮＞

いち早く換気をしたいかもしれませんが、まずは、近隣の方へ管理に訪れていることを周知します。
誰も住んでいない家から物音が聞こえてくれば、不審者の侵入と勘違いされかねません。
そこで、近隣の方々を驚かせることのないよう挨拶をおこなうようにします。
その際、治安などの周辺状況や迷惑をかけていないかなどの最近の情報を確認します。
信頼のおける方であれば、緊急時の連絡先を渡しておくのもおすすめです。

＜マスクとスリッパと軍手を用意＞

空気の動いていない家は、ホコリや虫の死骸が降り積もっている状態です。
汚れた空気を吸い込まないようマスクを装着し、足の裏や手が汚れないよう、スリッパと軍手も持参します。

＜開口部だけでなく収納も開放する＞

家中の窓をすべて開け放ち、あらゆる場所に風が通るようにしましょう。
その際は、クローゼットや押し入れの戸、下駄箱やタンスの扉なども忘れずに開放します。
閉めきっている状態が多い収納スペースは、カビにとって絶好の隠れ場所になりやすいので、そうした箇所を作らないようにします。
空気が回りにくそうな場所がある場合は、扇風機で風を送るのも有効です。

3．空き家を効率的に換気する方法

換気の頻度は、月１回・約１時間などの短時間で構いませんが、風通しの方法にはいくつかのポイントがあります。
まず、室内の空気だけではなく、室外の空気を部屋中に循環させることを意識し換気をします。
開口部だけでなく収納も開放するのはすでに述べたとおりですが、家財の散乱は空気の循環を遮る可能性があるので、先に家の中を整えておきます。
また、庭の草木が伸び放題で、背丈が高くなっている場合も風通しに時間がかかりますので、空き家管理の一部として庭の手入れもしておきます。
なお、換気扇や24時間換気システムがあれば、作動させておくと効果的です。