空き家研究の動向

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2020年、琉球大学・益田先生、東京都市大学・秋山先生は「日本国内における近年の空き家研究の動向」というタイトルで空き家研究の動向についてまとめています。
この論文では「空き家」に関する過去の研究論文を収集し、日本国内の動向に絞り、その全体像の把握を試みています。


1. 日本国内における近年の空き家研究の動向

①研究数の経年変化

空き家研究そのものの盛衰を示すものとして取り上げています。
空き家研究は2012年に急増し2012年は9件でした。
それ以降は概ね毎年10件程度の報告が続いており、現在はその流行の渦中にあります。

②対象地域

空き家研究の規模や地域的な偏りがあります。
規模ならば全国もしくは市区町村規模にて実施される研究、地域については全国もしくは関東地方がそれぞれ多数を占めています。
規模については利用可能な既存の調査統計情報は、おおむね国か市区町村単位に集計されて公開されていること、地域については都市部における空き家問題が既に現れている関東に集中していることが原因と考えられます。

③研究領域

掲載学術誌が偏ってしまうので注意する必要がありますが,大半は建築学と都市工学系の領域において発表されていることが多いようです。
これまで、空き家はあくまでも建物に関する現象であるとの理解が主流であったため、と推測されます。

④使用統計

国家規模の調査が行われ,かつ入手も容易な統計情報が頻用されてます。
公的統計であれば、国勢調査や住宅・土地統計調査、公的でないものであればゼンリンの住宅地図がその代表となっています。

⑤研究手法

研究手法には、情報の獲得を目的とする調査手法と,すでにわかっている調査情報の意味を探るための分析手法にわかれます。
さらに分析手法については、すでにわかっている情報の直接記録する現状を解釈する「現状分析」と、すでにわかっている情報から未知の状態を推定する「推定分析」にわかれます。

調査手法については、現地調査、聞き取り調査、アンケート調査が用いられ、比率としてはアンケート調査が頻繁に用いられています。

現状分析の採用率は高く、対象地域を有する研究の内 60.5%は何らかの現状分析を行っています。
これは高い汎用性と省力性によるもので、推定分析と比較し、所要技術の習得も容易であることが原因のようです。

推定分析は、所要技術が高く研究手法自体も確立したものではないため,採用率自体は多くありません。
しかし、未知の情報の把握を可能とする手法は,社会的認識や法律上の問題から情報獲得の困難な空き家の研究において、大いに望まれています。

⑥研究観点

各研究に用いられる指標によって研究内容の把握を試みています。
現在の研究動向において用いられる指標は、建築、都市計画、社会状況に関連するものに偏っていました。
地形、水利、気候といった自然条件や、空き家や対象地域へ社会的認識,あるいは文化の変遷の有する個人の心情への変化など、新たな指標を用いて、多角的な観点から空き家を研究する必要性が高まっています。
特に新しい研究指標として、地理学分野の課題が期待されています。


2. 現状の空き家研究の課題

まず、指摘される点としては「空き家」の定義が定まりきっていないことです。
「空き家研究」として「空き家」の他、「空き地」や「低未利用地」、「空閑地」などと称される遊休不動産に関する研究を多数挙げています。
これも「空き家」なる語によって表される概念の範囲が各者で異なり、「空き地」「低未利用地」「空閑地」であっても、その意味内容は「空き家」と無関係とは言えないためです。
「空き家」の名称にこだわることなく、より適切な名称を与えることも必要かもしれません。
また、分析結果のもたらす要因についての考察に根拠不明の一般論に基づく傾向があることも、注意する必要があります。
一切の前提や議論を介さずに記述されてしまう研究が散見され、要因の特定こそが空き家に関する問題の解決に直結すると考えられるため惜しいことになっています。

最後に、地理的あるいは地域的な検証が不十分であるか、検証が為されていても未発表にとどまっている可能性があるということが掲げておきます。
地形条件、地盤の強固さ、および標高差といった地理的条件に関する研究はまだ少なく、今後の研究の進展が期待されるところです。

空き家研究はいまなお発展途上にあり、地理学を含む多様な領域を加えることで総合的な考察をすべき段階にあります。
また、無視できない社会問題として研究成果の迅速な実用化が求められます。

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