空き家を処分する前にやるべきこととは?

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「もしも 自分が空き家の当事者になったら ・・・」
今回は、ナビットの地域特派員(SOHO)による、実際にあった体験談のお話をご紹介します。



1.未練を手放して決断した自分たちの家

主人の父が認知症になり、私たちは介護のために、自分たちの都会の家を築7年で手放し転居しました。

毎月、片道2時間かけて通って汚れないよう対策をしても、あっという間に近隣の猫たちによる糞で汚れ、
ご近所に迷惑をかけることにもなるため、泣く泣く家を売ることにしました。

未練でいっぱいでしたが、日本では天災が続き、また、主人の実家の空き家処分に関わったことで
「不動産に固執してはいけない」と身をもって実感し、
結果として早くに決断したことで十分に高値で売ることができました。

義父はこの居住宅の他にも、小振りの古い家を先代から相続していました。
築何年か分からないうえに、先祖代々の箪笥(たんす)や行李(こうり) 、
主人やきょうだいの子供の頃の服や絵が手つかずで積み上がり、
さらに義母の母が亡くなってその荷物も捨てられずに詰めこまれ、そのままになっていました。

義父が認知症になってからは、さらに処分する気力もないままゴミを溜めこんでしまいました。
窓ガラスや樋が落ちて隣のお宅の網戸を破ったり、
瓦が落ちそうで危ないとご近所に言われたり、当時の私は嫁として平身低頭でご近所の対応をしました。

義父が認知症になってからは、主人が父親の成年後見人になり(書類作成は多忙な主人に代わり私が用意)、
主人の判断で取り壊し土地を売ることができました。

解体には実際のところ100万円ほど掛かっており、土地の売値とほぼ同じ値段となりました。

成年後見人の手続きは大変!と言われますが、日々介護していれば難しいことはなく、
むしろ相続時の手続きの助けになりました。
認知症の親をお持ちの方は、ぜひ家庭裁判所で相談してみてください。



2.思いのほか処分が進まない荷物の仕分け

ここまで説明すると、簡単に進んだように思いますが、
実は一番の問題は、30年以上前に近くに嫁いだにも関らず残したままの、主人の妹の荷物でした。

「思い出が残っているかも・・」と感情的になり、せっかく他のきょうだいがそろって作業しようとしても渋る始末。
「空き家なう」にもあるように、解体を少しでも安くするには不用品を自分達で処分するのが一番ですが、
認知症の親が詰めこんだゴミだけでなく、
30年以上前の自分たちの荷物の仕分けすら進まないとは・・

そこで、母屋のスチール物置の中を処分し(多くは義妹の子供の頃のおもちゃで、劣化もひどく処分に一苦労!)、
義妹関連の荷物は運び入れることにしました。
義父母のゴミをゴミの日に出し、さらにダニだらけの段ボールを処分予定の空き家から運び出して保管場所へ移すのに、
普通の方なら腰痛になってもおかしくない作業を延々続けました。
大変でしたが、「自分の子供には苦労を残したくない」という一心で頑張りました。

ご近所の空き家も解体ブームですが、親が亡くなってから解体するまでに、荷物処分だけで3年かかったとか、
少し広い家の解体だと荷物処分も業者に頼んだところ、トータルで費用が500万円かかったとか、苦労話が絶えません。

彼女のように実家にまだ荷物があるという方は多く、
新婚の住居が狭かったり、転勤といった事情で一時的に預かってもらうのは仕方ありませんが、
子供が成長して親の高齢化を感じたら、里帰りの都度自分の荷物を処分したり引き取ったりしましょう。

3.次世代のために私たちができること

親はなかなか捨てられないまま高齢になり、その高齢化速度には肉親の方が鈍感です。
親の面倒を看てくれているきょうだいたちの負担を減らすのが、大人のマナーです。

子供が独立したのに、幼稚園の絵や小学校の水着まで、すべて捨てずにおいてあることありませんか?
もちろん思い出は大事ですが、物が多すぎると賞状やアルバム等、大事な思い出が埋もれてしまい、
後で処分する子孫が仕分けに困ります。

とはいえ、すでに高齢な世代を責めることはできません。
せめて自分の荷物は子供が困らないように、元気なうちに仕分けをしておきましょう。

そこまで極端に物が多くなければ、いざ実家(または自分の家)を処分したり、貸したりするにも、
良いご縁があればすぐ行動に移せます。

「空き家なう」のほかの記事にもあるように、空き家の活用・処分に関わる自治体支援は進みつつあります。
しかし、自分たちのモノが捨てられずに活用が進まず・・ではせっかくの支援制度も活用できません。

私たちのように、親の介護のために都会の家を空ける事もありますし、
どこかで天災があり、ある日突然最低限の荷物を引っ張り出すことになるかもしれません。
また、親が施設に入れず引き取ったり、自立したはずの子供が失職して急に帰省したりと、
何があるか分からないご時世です。

もともと日本家屋はフレキシブルなつくりに出来ていて、
家族の変化に合わせて有効利用してきたはずです。

「空き家になるかも…」となる前に、大事な物を選別して、
家族の変化に合わせフレキシブルに暮らしましょう!

そして万が一、空き家の当事者になった場合は・・まずは物の処分を、家族全員で協力しあって実行しましょう。

空き家なうでは、今後も空き家に関する実体験を紹介してまいります。
どうぞご期待ください!

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