固定資産税が6倍に?空き家を更地にする場合の注意点とは?

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空き家問題で固定資産税がキーワードの一つになっているのは、よく知られていることです。

毎年4月になると、住んでいる市などから固定資産税・都市計画税の納税通知書が届きます。
その年の1月1日現在、住宅や土地を所有している人が対象です。
通知には課税の根拠などを詳しく説明する資料が同封されているのが普通ですが、
丹念に読む人は少ないのではないでしょうか。

固定資産税・都市計画税には「住宅用地の課税標準の特例」で表のような基準による減免措置が適用されています。
敷地面積が200㎡までは小規模住宅用地として、固定資産税は6分の1と大幅に減免されているのです。
300㎡を超える一般住宅用地でも、200㎡までの分には同様の減免措置が適用されます。

この税は空き家にもかかります。
そこで問題になるのが更地にした場合の税金です。
更地にすると、減免措置が適用されなくなり、小規模住宅用地では固定資産税は6倍、都市計画税は3倍にハネ上がります。

ここに大阪の都心まで通勤1時間、敷地面積165㎡の住宅の平成30年度納税通知書があります。
土地に対する固定資産税・都市計画税の合計は57,700円です。
これが更地になると、294,300円。
家屋に対する56,200円がなくなるものの、差引238,100円の課税となります。
解体費をかけたうえに待っているのが大増税では、所有者はたまりません。

200㎡までの小規模住宅用地でも、かなりのショックを受けるのですが、
大邸宅を相続した場合などは大変です。
固定資産税だけでなく、相続に際しても資産価値の下落した空き家は厄介な存在になる可能性があります。

「売れない」「貸せない」不動産になぜ税金の追い打ちがとぼやいても、
なかなか名案のないのが現状です。  
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特例措置法では、
放置された物件が「取り壊さないと危険」などの理由で「特定空き家」に指定されると
税優遇が適用されなくなる恐れもあります。

自治体からの指導があった場合は、適切に対応することが肝要です。

自治体によっては、 「空き家の解体撤去」「リフォーム」「転入者による取得」など、
様々な補助金制度を打ち出しています。

しかし、自治体の税収に対する固定資産税の割合は約4割を占めていて、町村では5割にもなります。
おいそれと補助金の大盤振る舞いをするわけにはいかないのが、実情です。
空き家と固定資産税の問題は、住宅所有者にとっての「罠」にとどまらず、
将来、市町村の存立そのものを危うくする問題に発展する可能性も秘めているわけです。

【参考サイト・参考書籍】
「空き家問題-1000万戸の衝撃」牧野知弘著/祥伝社新書
固定資産税制度について」平成28年8月 総務省自治税務局

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