空き家を楽しむ・・ユニークなビジネスが続々

公開 2019年10月9日

「空き家なう」では、これまでも様々なテーマで空き家関連のビジネスが紹介されていますが、
この項では一風変わったビジネス、「空き家を楽しむ」ような案件を、新聞やインターネット上からピックアップしてみました。

1．空き家再生プラン０（ゼロ）工事

東京新聞（2019年9月17日）によると、群馬県桐生市にある「有志職人集団ぷらっと」が、
空き家オーナーの初期費用負担がゼロで入居者が発生したら工事費用を一括支払いするという、
ユニークなリフォーム・リノべ－ション工事プラン「空き家再生プラン０（ゼロ）工事」を始めました。

特許出願中だそうです。

「有志職人集団ぷらっと」は2013年に地元の設計事務所や大工、左官、電気・給排水工事業者など、
17事業所が集まって結成したグループで、JR桐生駅近くに実店舗「衣食住の職人カフェぷらっと」を開設し、
スタッフが住まいのトラブルについての相談に応じています。

工事をしても「借り手がいなかったら」というオーナーの不安を解消する成果報酬型のプランですが、
そのための工夫もされています。

参加事業所が抱える余剰資材などを活用し、工期は一般の3倍取って空き時間に工事をするのです。
もちろんリスクはゼロではありませんが、地元の事情を知る人が仕掛け人となり、
信頼関係があるからこそ実現できたプロジェクトと言えるでしょう。

2．銭湯ぐらしアパート解体プロジェクト

空き家の活用というよりも「空き家の終活」とも言えるプロジェクトですが、
クリエイターがやりたいことをやりながら、収益も生み出した企画でもありました。

JR高円寺駅（東京都杉並区）から徒歩5分、築83年の銭湯・小杉湯の隣にある風呂なしアパートを、
2017年3月から2018年2月までの1年間、活用。

多彩なクリエイターが共に暮らして、それぞれの専門分野と銭湯を掛け合わせた活動を展開したあと、
アパートは解体されました。

例えば「銭湯×宿泊」のテーマでは、外国人向けに１ヵ月以上滞在できる民泊「銭湯つき宿泊プロジェクト」を実施して、
銭湯を介したまちづくりやコミュニティの基点となりました。

このほか「銭湯×起業連携」「銭湯×音楽」「銭湯×イラスト」など様々な企画を展開し、
プロジェクト終了後の2018年10月に「株式会社銭湯ぐらし」が設立されました。

会社は「銭湯を活かした場づくり」「企業コラボレーション」「お風呂と旅のプロデュース」
「銭湯におけるイベントの実施」などの事業を展開しています。

3．ギョギョタウン（町中ミニ水族館）～町全体を水族館に～

神戸新聞NEXT（2019年4月6日）で紹介された南あわじ市福良地区で試験飼育中の「ギョギョタウン（町中ミニ水族館）」。

福良町づくり推進協議会が空き家を利用し、福良湾にいる魚を飼育して、住民に楽しんでもらうとともに、
観光客を呼び込もうとの作戦。

兵庫県の調査（2016年）では、「道の駅うずしお」には年間40万人の観光客が訪れるといいます。
しかし、道の駅周辺は、鳴門の渦潮観光船が出航するため賑わいますが、町の中心部までやってくる観光客は少ないのです。

まず慈眼寺前の空き家で試験飼育を開始、徐々に他の空き家にも水槽を拡げて、
「地場産業のそうめんと魚を味わえる食堂をオープンさせたい」と、地元は意気込んでいます。

4．吉祥寺に「本屋をシェアする文化」の発信基地を

6年前、東京都武蔵野市に無人古本店「Book ROAD」を開いて話題になった中西功さんが、
2019年7月、JR吉祥寺駅前から徒歩5分の空きビルを借りて、
小さな本屋さんの集合体「ブックマンション」をオープンしました。

1等地のビルが空いていたのには、それなりの理由があったそうですが、
改装資金としてクラウドファンディングで600万円近くを集めたそうです。

ビルは地下1階・地上3階の計4フロア。
地下を改装して本屋さんに、1階はコーヒースタンド。
2・3階はワークショップにする計画とのこと。
地下を改装して棚をシェアする本屋さんにして、運営もシェアする仕組み。

中西さんによると、まちの本屋さんを増やしていくための新たな実験として取り組むことにしたのが、
今回の「ブックマンション」。

実験で得たノウハウを公開し、本屋さんをどんどん増やす「日本列島、本屋さん増大計画」を展開していくそうです。

空き家なうでは今後も空き家に関する情報、体験談をアップしていきます。
どうぞお楽しみに。