空き家をワーキングスペースとして活用する　2023年夏版

公開 2023年8月22日

空き家が問題となるのは、空き家が活用されずに放置され、その結果として空き家が荒れ放題となり、周囲の環境に悪影響をおよぼすためです。
もし、空き家が有効に活用されるのであれば、空き家問題は起きないことになります。
そうした意味で空き家の活用例を見出していくことは重要ですが、空き家の活用例としては、「コワーキングスペース」、「サテライトオフィス」、「デイサービスへの賃貸」、「民泊」、「二地域住居者向け賃貸」、「店舗運営」などがあげられます。2020年になり、コロナ禍の影響で在宅勤務を強いられるケースが増えており、空き家のワーキングスペースとしての活用に注目が集まっています。

1．新しい勤務のあり方、テレワーク

新型コロナウイルスによって、テレワーク化が急激に進み、2020年4月のテレワークの実施率は27%、都内では49%の実施率となりました。
現在は、テレワークと出社を併用する企業が増えていますが、テレワークの活用は続いており定着してきています。
テレワークとなると、通勤する必要がありませんので、必ずしも都会の近郊に住む必要がありません。
その結果、地方での暮らしに注目が集まっています。

2．テレワークによる弊害

日経電子版で2020年9月23日～24日の間にテレワークに関するアンケートを実施しています。その中で、テレワークの弊害として「私生活と仕事の切り替えが難しい」という回答があり、テレワークでは、仕事とプライベートの切り替え方が課題となっています。特に女性はプライベートでは家事の主な担い手である場合が多く、自分の住む家では、仕事に没頭しづらく、いかにしてワーキングスペースを確保するのかが課題となります。

3．空き家を活用するワーキングスペースとは

今後、テレワークを前提とした新しい勤務形態は増えていくと予想されますが、これを実現するためのワーキングスペースをいかに確保するかが課題となります。
その中で、空き家を活用するワーキングスペースは、有力な選択肢と考えられます。現時点では、「コワーキングスペース」と「サテライトオフィス」の2つが考えられます。
コワーキングとは、事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルのことになり、サテライトオフィスとは、企業の本社や、官公庁・団体の本庁舎・本部から離れた所に設置されたオフィスを指します。

4．コワーキングスペース

テレワークの弊害として「仕事とプライベートの切り替え方が難しい」ということがありましたが、一つの解決策として「コワーキングスペース」が考えられます。
これには、すでに「コワーキングスペース」を事業としている人から部屋を貸してもらう、空き家を賃貸あるいは購入するなどして、ワーキングスペースとして必要な設備を施して、自分も活用し、さらに余剰なスペースを第三者に貸し出す、などが考えられます。
第三者のターゲットとしては、CGデザイナー、プログラマー、フリーランスで仕事をしている人たちになります。
設備としては、高速インターネット環境および高速Wi-fi環境が整っていることが重要です。
ニーズとしては、「仕事とプライベートの切り替えに利用する」以外には、法人登記やホームページで住所を公開したいために借りるケースがあります。

5．サテライトオフィス

企業がテレワーク勤務形態の推進に熱心であれば、適切なオフィス環境を提供することを目的にサテライトオフィスを提供してくれる可能性があります。
サテライトオフィスは、都心にある重厚なオフィスというようなものではなく、一般的な民家を活用したケースを指します。
サテライトオフィスの利用者としては、IT系企業が考えられ、空き家となっている古民家を借りるようなケースがありえます。
IT系企業は、通信環境が整っていれば、どこでも仕事をすることができます。
山間部などは、山が障壁となり電波状況が悪いため、古くからケーブルテレビが整備されているようなエリアが存在しますが、その分、ケーブルテレビの通信網を利用した高速通信環境が整っており、IT系企業がサテライトオフィスとして利用するケースが見受けられます。
また、その土地でスタッフを雇うための拠点としてサテライトオフィスを借りることもあります。