茶話本舗にみる介護サービスへの転用
公開1.在宅介護に対応した住宅の開発
これまでに空き家を活用した例として、文化施設やコミュニティスペースに始まって、
古民家カフェや古民家ホテルなどの多くの人が集い、楽しむ空間活用の例をみてきました。
今後、空き家活用で注目されるのが、空き家の在宅介護対応住宅への転用です。
政府は、2016年に在宅介護・医療のインフラを整備する方針を掲げました。
利用者ができるだけ自立した生活を送ることができるように、家族と長期間同居できるようにしたり、
家族が介護に対応できない際の短期宿泊施設としての利用など、介護に伴うさまざまなニーズに対応できるよう整備していきます。
ICT(情報通信技術)を使った高度医療システムの導入も検討しており、
自治体、民間企業、医療機関などと連携して、介護に関わる当事者同士が即座に情報共有できるなど、
要介護者を24時間見守れる未来型の住宅を目標にしています。
2.みとり難民からの脱出
その背景には、超高齢社会に介護施設が追いつかない現状があります。
試算によると、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県で、
37年には13万人程度の介護施設が不足する見込みです。
特に、高齢化が最も深刻になると予想されているのが、団塊世代が75歳になる2025年といわれています。
2025年までに、高齢者向けの介護施設などのサービスを充実させておく必要があります。
ホラー映画のようですが、42年には約160万人の死亡者のうち、
47万人ほどが死に場所の定まらない“みとり難民”になるという見解も出されており、
現実は待ったなしの状態まで迫っているのです。
3.空き家を利用した介護施設ビジネスの例
~茶話本舗(さわほんぽ)
空き家を介護ビジネスに利用して好評を得ているのが、
小規模デイサービス「茶話本舗(さわほんぽ)」です。
店舗は全国に788カ所近くもあり、9割はもともと空き家となっていた戸建て住宅です。
空き家をオーナーから借り受けて施設にリフォームし、
24時間365日夜間対応型のデイサービスを展開しています。
空き家をデイサービス施設として利用ためには、
設備・建材のリニューアルや間取りの変更が必要になります。
お風呂、トイレ、玄関には手すりを設置し、水まわりの広さが十分でなければ
新品にリニューアルします。
また、運動機能を改善するための空間である「機能訓練室」を確保しなければいけません。
介護保険法に適した基準の広さを確保するために、空き家の部屋が狭い場合は、
部屋と部屋との壁を撤去して2つの空間をつなぐ必要があります。
茶話本舗は、こうした機能訓練室が各店舗に設けられているなど、
介護サービスに特化した住居を提供しています。
これまでの介護施設は、病院のようなイメージで敬遠しがちでしたが、
茶話本舗(さわほんぽ)のような民家なら、新しい環境に慣れにくいお年寄りも
自宅と同じようにくつろげると人気が出ました。
日本介護福祉グループでは、この介護のビジネスモデルをフランチャイズ化し、
新しいビジネスプランを提供しました。
空き家を活用したデイサービスは、全国に広がり、利用者が増えています。
介護施設の建設を、土地や建物からスタートしようとすると時間もコストもかかってしまいますが、
多くの空き家の築年数である築20~30年であれば、改修費用も100万円以下で収まるなど、
従来よりも低コストでデイサービス事業を開始できるメリットがあります。
このように空き家を活用する介護施設は今後も需要が増加し、ビジネスモデルとして定着しそうです。
【参考サイト】
「空き家を介護住宅に活用 首都圏などの施設不足解消へ」産経ニュース
「空き家を介護施設に再生 日本介護福祉グループ」リフォーム産業新聞
茶話本舗(さわほんぽ)
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