地域活性化にも貢献~空き家でアートを展示しよう
公開 空き家は一般的にはまだ負のイメージで捉えられることが多いですが、
1つ見方を変えれば 「味のある素材」「雰囲気のある佇まい」と捉えることもできます。
ここでは、埼玉県「空き家利活用事例集」の中から、
空き家とアートを繋げて活用された事例を3例取り上げたいと思います。
埼玉県は「文化芸術拠点創造事業」と称して空き家や空き店舗、廃校校舎、
歴史的建造物などの建物を文化芸術拠点として活用していけるよう、
専門家のアドバイスを提供したり、資金面から補助金を準備したりしています。
紹介する3例はいずれもこの事業の支援を受けていて、
各自治体単独としてでなく、県とも協力して取り組んでいる様子が伺えます。
1.弁天横丁復興計画 (特定非営利活動法人 川越蔵の会)
埼玉県川越市は、歴史的建造物や蔵の街並みを利用した「一番街」、
昔懐かしい日本の駄菓子屋が並ぶ「菓子屋横丁」など、小江戸川越として観光客を呼びにぎわいを見せています。
その目と鼻の先にありながら、取り残されたように位置するのがこの計画地です。
レトロな看板が残り、かつては遊郭だったという裏の雰囲気が漂っています。
この通りの中にある大正初期の長屋物件を気に入ったアーティストと、
地元のまちづくりNPOが調整役となってギャラリー兼住居として生まれ変わることになりました。
ほぼ廃墟同然だったところから、修繕、改修、畳の入れ替えはボランティアの手で、
水道、ガス、電気の設備は専門家に依頼することで限られた資金内で、
独特の雰囲気のある空間に仕上げることができました。
このギャラリーを引きがねとなり、近くにある他の空き家がカフェとして活用される流れも見られ、
周辺の活性化につながってきているようです。
2.秩父こみにてい (特定非営利活動法人 秩父こみにてい)
同じく埼玉県秩父鉄道の秩父駅前の「番場通り」は、秩父神社参道に続く石畳に、
大正後期から昭和初期にかけて建てられたモダンな店舗建築物が並び、レトロな雰囲気を楽しむことができます。
隣接する東町にも同時期の民家が遺されており、この事例は、そのエリアにあります。
取り壊して駐車場にする予定だった、明治末期の母屋と蔵を
ご近所の方が借りて街のコミュニ ティースペースとしてスタートし、
継続するためにNPOを立ち上げて運営していく方向となりました。
建物の補修は、工事を始めてみて発見されることも多くありました。
耐震補強や空調設備類の新規設置など、想定した予算と工期内に納めるには苦労も多かったようです。
完成後はコーディネーターの役割が大きく、利用希望者と建物を結びつけ利用者の声を反映した運営を
継続していくことが課題となっています。
3.きたもとアトリエハウス(ナヤノギャラリー改修事業)
北本市荒井にある「きたもとアトリエハウス」は、昭和初期の築100年程度の戸建住宅と納屋を、
現代美術作家を中心とした改装メンバーたちの手で試行錯誤しながら作り上げたギャラリーです。
不要な家具や雑多な物、野生動物までもが室内を占拠するような状態の空き家から、
制作や作品発表の場、カフェとして活用できる状態に至るまで、
途方に暮れながらもどこか楽しみながら取り組んでいった様子がブログにつづられています。
改修当初に狙っていたように、ご近所の人々が集まり交流が生まれる場として様々な用途に活用されました。
メンバー自らがイベント企画をして、カフェの運営、料理教室、手芸サークル、製品制作、写真撮影など、
やりたいと思ったことを実現させる場として、活用されました。
継続維持の資金としては北本近郊在住のメンバーから会費徴収を充てたようです。
また、埼玉県と北本市それぞれの助成金も利用しました。
2017年6月で一旦きたもとアトリエハウスとしては終了し、
2019年2月現在では”実験と発見 ツカノマ”として、カフェとスタジオを運営しています。
4.まとめ
空き家とアートの関係性は2種類考えられます。
空き家そのものをアートとして活用していく視点で見た場合、事例1と2はこれに当たるでしょう。
また、「アートを産む場」として活用していく視点で見た場合、事例3はこれに当たるでしょう。
アートとの融合で、古い空き家を負とみるのでなく、逆に魅力的な資源ともなりうる可能性が見えてくるかもしれません。
今後も空き家なうではさまざまな活用事例を紹介していきます。
お楽しみに!
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