空き家の市場規模

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「空家対策特別措置法」の施行など、国や自治体も対策に動き出した空き家問題ですが、
実際の空き家市場は、どのようになっていくと予想されるのでしょうか。
各シンクタンクがまとめたデータをみていきましょう。

1.空き家の市場規模は9兆601億円

まず、空家全体の市場を試算したデータを紹介します。

2016年5月に、株式会社リフォーム産業新聞社(東京都中央区)は、戸建て空き家の潜在市場規模の推計をまとめた
空き家市場データブック2016」を刊行しました。

本著のデータによると、戸建て空き家の潜在市場規模は、9兆601億円と推計されるということです。

9兆601億円の空家の潜在市場の内訳を見てみると、
全体の約7割と、最もウェートを占めているのが「中古住宅の流通(売却)」で、6兆4,069億円。
次に「リフォーム」が1兆727億円の規模となるようです。

その他の細目は「建替え」9,284億円、「解体・撤去」4,150億円、「賃貸」2,208億円、「管理委託」163億円と推計されます。

2.2033年の空き家率は30.4%と上昇を続ける

2018年6月に野村総合研究所が発表した空き家数や空き家率(総住宅数に占める空き家の割合住宅数)を
試算したデータを紹介します。

このデータによると、2033年の総住宅数は、6,063万戸(2013年時点)から約7,130万戸に増えるいう結果でした。
そのうち、空き家数は約820万戸(2013年時点)から約2,170万戸に倍増すると予想しています。

空き家率は13.5%(2013年時点)から30.4%(2033年予想)に上昇するとみられ、その後も空き家数は増加し、
空き家率はとどまることをしりません。

また、過去の10年単位で空家データの規模をみてみると、1993年は448万戸、9.8%、2003年でも659万戸、12.2%と
緩やかな上昇だったの比べて、2013年あたりを境に、その後は2023年度は1,404万戸、21.1%と
大幅に上昇していくことが予想されています。

3.新築住宅戸数の激減と中古住宅購入上昇の兆し

参考までに、同研究所が同じく試算した2018年~2030年度の新設住宅着工戸数は、
2017年度の95万戸から、2020年度に77万戸と激減した後、2030年度には60万戸と減少していくとされています。

空き家が約2,170万戸の予想と比較すると、この数字が対照的なのは一目瞭然です。

また、中古住宅を購入した世帯の比率のデータも紹介されています。
2005年には既存住宅購入した世帯は12万戸で、全体の18%でしたが、
10年後の2015年には26万戸へ増加し、29%を記録しました。

このような傾向が今後も続いた場合、2025年には31万戸の全体の42%の世帯が中古住宅を購入すると考えられ、
2030年には48%の34万戸の世帯になると予測されます。

2018~2030年のリフォーム市場規模は、2030年まで年間6~7兆円台で横ばいと伸びはありませんが、
中古住宅を購入してそのまま住むのではなく、リフォームして住む人が増えると考えられます。

このように、近い将来、新築住宅ではなく、中古住宅を購入する世帯が全体の半数になると試算されることから、
空家対策特別措置法の行政処分の話題にとどまらず、貴重な住宅資源をどのように活用するか、
空き家市場に注目が集まっていることが理解できます。

空き家なうでは、今後も空き家に関する情報を提供してまいります。
どうぞご期待ください!

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