所有者不明の土地はどのように処理されるのですか?(後編)

公開

所有者不明の土地問題の後編では、こうした土地利用の円滑化に関する動きを
見ていきます。

そもそも日本の土地の権利関係については、不動産登記、固定資産課税台帳、
農地台帳などが、諸外国に比べ整備されていると言われます。

しかし、前編でご紹介した所有者不明土地問題研究会の報告でも
「既存制度が活用されていない」と指摘されているように、
所有者の情報を一元的に把握するのが難しいことも事実です。

1.所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

2018年11月に一部施行されたこの措置法では、登記名義人が死亡した後、
長期間にわたって相続登記が行われていない土地について、
登記官が法定相続人を探して、職権で登記を促すことが出来るという、
不動産登記法の特例が設けられました。

地方公共団体の長に財産管理人の選任申立権を与える、民法の特例も設けられました。

さらに、今後相続登記が放置される恐れのある土地に対応するため、
一定の資産価値の高くない土地について、
相続登記の登録免許税を免除する措置が開始されました。

本来、土地の価額に対して0.4%の税率がかかるところが、
2021年3月31日までの間は免税となります。

ここで免税の対象になる土地については、その条件を法務大臣が指定しています。

 (1) 相続により土地を取得した方が、
  相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
  (2) 市街化区域外の土地で、市町村の行政目的のために
  相続登記の促進を特に図る必要があるものとして、
  法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の
  土地に係る登録免許税の免税措置

今回施行されたのは特別措置法の一部ですが、残りの部分については、
国土交通省関連の制度も含めて、今年6月1日に施行される予定です。

2.所有者不明土地連絡協議会の設立

今年1月から2月にかけて、全国の10地区(北海道、東北、関東、中部、北陸、近畿、
中国、四国、九州、沖縄)に「所有者不明土地連絡協議会」が設立されました。

所有者不明土地問題に関係する、国土交通省の地方整備局、法務局、地方公共団体、
士業団体(弁護士会、司法書士会、行政書士会、土地家屋調査士会、不動産鑑定士協会
など)が不明土地探索のノウハウや先進事例情報を共有して、
地方公共団体を支援するのが目的です。

所有者不明土地を巡っては、このほど施行された特措法を見ても、
多くの省庁にまたがる問題であることがわかります。

協議会の設立は、その弊害を乗り越えるための第一歩とも言えます。
この協議会の結果をもとに、多岐にわたる空き家の問題が進展することが望まれます。

空き家なうでは、今後も空き家問題を解決する施策をご紹介していきます。
お楽しみに!


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