アベノマスクが空き家にも配達される事例が各地で明るみに~なぜ?
公開新型コロナ対策で国が全世帯を対象に2枚ずつ配布した布マスク。「小さい」「遅すぎる」などと評判は散々で、安倍首相に引っかけて「アベノマスク」と揶揄するニックネームがすっかり定着してしまいました。
ところが、このマスク。人の住んでいない空き家にも配達される事例が各地で報道され、「経費の無駄」という批判が追い打ちをかける事態となりました。
1. 安倍首相が突然発表
4月1日、安倍首相が「全国の5000万超の世帯に、布マスクを2枚ずつ配布する」と突然発表しました。
この頃は新型コロナの感染が拡大し、マスクを求めて店頭に長蛇の列ができて問題になっていました。当初は新聞社の世論調査で「評価する」声がありましたが、配布終了が6月中旬にまでズレこんだことや、260億円という巨額の経費、業者選定の不透明さがアベノマスクの評価を余計に落としてしまいました。
2. 空き家にも配布
アベノマスクが届き始めると、全国各地で「空き家や店舗、事務所にも配達された」との事例が次々と報道などで明らかになっています。
「空き家・アベノマスク」をキーワードにネット検索すると、「5月下旬、仙台市青葉区の美容室に届き、この経営者の自宅にも2週間後に届いた。経営しているアパートの空き室にも届いたというお客さんがいた」(河北新報)、「熊本市南区の不動産業の女性のアパートの8つの空き室のうち4つに届いた。社員が空き店舗に配達されたマスクを改修してまわったという業者もあった」(熊本日日新聞)など枚挙にいとまがありません。
BLOGで「いま住んでいる自宅、引っ越し前の自宅(空き家)、空き家の実家に計6枚配達された」と紹介している例もあります。
3. 日本郵便のタウンプラス
アベノマスクの配布に利用されたのは、日本郵便のポスティング・サービス「タウンプラス」。
2005年から始まったサービスで、通常は企業のダイレクトメールなどに利用されています。
日本郵便のWebサイトによると「ご指定いただいた地域の配達可能なすべての箇所に荷物をお届けするタウンプラス。新規顧客獲得やエリアを絞ったアプローチに最適です。DMやチラシとは違うユニークな媒体として来店促進や販売促進にお役立てください」と紹介されています。
「配達可能な全ての箇所に届ける」仕組みですから、転居届の出ていない空き家のポストにも投函されることは容易に想像できます。
転居届が出ていても、プロジェクトが膨大な数ですから、全ての空き家をチェックするのは大変です。
個人の住宅と判別しにくい事業所にもポストがあれば配達されることになるでしょう。
空き家に配達されるケースがある一方で、2世帯住宅なのにポストが1つだと、1つしか配達されないケースも出ています。
4. 空き家は全国で846万戸
2018年10月時点で調査された総務省の「住宅・土地統計」によると、全国の住宅数は6240万戸で、うち空き家は846万戸にのぼります。
国会で立憲民主党の蓮舫氏が「全国800万の空き家にも配るのか?」と質問したのはこの統計の数字が根拠と思われますが、これに対し、加藤厚労相は「他に適当な方法がない」と答えています。
新型コロナ対策で全国民に1人あたり10万円が支給された特別給付金は、住民登録を基に支給されました。
アベノマスクの場合、スピードを重視すると、住民票をベースにした郵送は手間とヒマがかかりすぎることは確かです。
仮に住民票を基に配達するとしても、空き家対策でもよく問題になることなのですが、住民登録と空き家は一致しないので、「空き家に配達」という問題は解消されません。
いろんな教訓を残したアベノマスクですが、一日も早くマスクが必要でなくなる日が来てほしいものですね。
空き家なうでは今後も空き家に関する情報、体験談をアップしていきます。
どうぞお楽しみに。
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