ゴーストタウンが生まれる?地方都市の空き家問題とは?

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空き家問題は、全国に広がる問題として捉えられ、議論されるようになりました。
そして、数の上では圧倒的に多い大都市での空き家問題が一層注目を集めるようになりました。
その背景も、

  ①人口の減少と高齢化、核家族化
 ②新築住宅への根強い需要
 ③税制の歪み

・・など、全国共通の問題として語られることが多くなりました。
しかし、空き家は地域により発生要因が異なることは言うまでもありません。
各種の調査結果にも、それは表れています。
国土交通省のまとめた「平成26年空家実態調査」によると、
「戸建て住宅に人が住まなくなった理由」は次のようになっています。

 「死亡」        35.2%
 「別の住宅に転居」   27.9%
 「老人ホーム等への転居」14.0%

このうち「別の住宅に転居」の多いのは、
地価の比較的安い地方都市で目立ち、
空家増の主な要因の1つになっていると見られています。

また、総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」から度々引用される空き家率ですが、
全国平均13.5%に比べ3大都市圏を除く市部の空き家率は14.9%と
高くなっています。

さらに全国の空き家820万戸のうち、
売却・賃貸・二次的住宅(別荘など)のどれにも該当しない「その他」が
38.8%を占め、5年前の調査に比べ3.4ポイントも増えているのです。

しかも、この比率は3大都市圏以外では46.3%となっています。

「その他」に分類される空き家は「何もせず放置されている」住宅で、
四国・中国・九州など過疎化の進む県で増えていることが指摘されています。

国交省と総務省が平成30年3月末時点でまとめた「空家特措法の施行状況」によると、
全国774市町村が空家等対策計画を策定済みで、
策定を予定している市町村は753にのぼると報告されています。

自治体レベルの対策には限界があると言われる空き家問題ですが、
この報告の内容は自治体の危機感の強さを反映したものとも言えるでしょう。

また、都道府県別に、対策済み市区町村数の割合を見ると、
高知県の100%をトップに、富山県(93.3%)、広島県(78.3%)、
大分県(72.2%)、茨城県(68.2%)、福岡県(61.7%)、
佐賀県(60.0%)の高さが目立ちます。

沖縄県は9.8%(41市区町村中の4)と遅れが目立ちますが、
総務省の25年調査でも空き家率が9.8%と低く、
離島の多い県であるという特殊事情が背景にあるからでしょうか。

日本の最西端にある与那国島で聞いた話ですが、
「島をいったん出ていても、先祖から受け継いだ墓を守るために、
いずれは島に帰るので、家は処分できない」とのこと。

各種統計の数字だけを見ていてはわからない、空き家問題の奥深さを語る事例の一つと言えるでしょう。

【参考文献・参考サイト】
「空き家問題-1000万戸の衝撃」牧野知弘著/祥伝社新書
平成 25 年住宅・土地統計調査(速報集計) 結果の要約」総務省
平成 26 年 空家実態調査 集計結果」国土交通省 住宅局
空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」国土交通省・総務省調査

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