東京が空き家だらけに?首都圏の空き家問題とは?

公開

かつては「空き家問題」というと、まず過疎地を思い浮かべるのが普通でした。
しかし、全国で1,000万戸の空き家が現実のものとなりつつある今、
「首都圏が空き家問題の主役に」との見方が強まっています。

国土交通省が2018年6月に発表した「2018年版首都圏白書」で、
「都市のスポンジ化」と表現して以下のように警告しています。


白書によると、この10年で首都圏の住宅数は300万戸増えて2,134万戸。
これに対して世帯数は250万戸増の1,873万戸にとどまり、
この結果、供給が過剰となり空き家の増加を招きました。

国交省都市局が「住宅・土地統計調査(総務省)を基に計算した
「狭義の空き家」(別荘、賃貸、売却用を除く長期不在の住宅)は74万戸で、
43%も増加したとしています。

この供給過剰はどうして起こったのでしょうか。
主な要因として白書や住宅の専門家は2つあげています。

  ①まず地方とは違って首都圏では、これまで人口流入に伴い
   不動産開発が急ピッチで進み、その波は郊外に拡大していきました。
  ②一方で首都圏への人口流入が頭打ちになって、
   入居した住民の高齢化が進み、
   空き家の増加を加速化させる予備軍になりつつあるのです。

国立社会保障・人口問題研究所が昨年公表した「日本の地域別将来推計人口」によると、
全国的に高齢化人口の比率は上昇する見通しで、
2036年の高齢者人口(65歳以上)は全人口比33.3%と3人に1人になると予想されています。
首都圏も例外ではありません。

表のように、東京都と3県すべてで30%を超え、加えて3県は全国平均を上回っています。


故・堺屋太一氏の近未来小説で有名になった「団塊の世代」は、
第2次世界大戦後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれの約800万人を指します。
「第1次ベビーブーム」とも言われますが、この4分の1が実は「首都圏人」なのです。

この世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達するため、
「2025年問題」という言葉も生まれています。
空き家という視点からも「団塊の世代」は重要な意味を持っているのです。

総人口の多さと高齢化の進行を考えると、首都圏の空き家問題は、
地方に負けず深刻であることが予想できます。




【参考文献・参考サイト】
「空き家問題-1000万戸の衝撃」牧野知弘著/祥伝社新書
平成30年版首都圏白書について」国土交通省
日本の地域別将来推計人口(平成 30(2018)年推計)」国立社会保障・人口問題研究所

ライター募集中!

空き家なうでは、空き家に関するコンテンツを作成してくれる人を募集しています。
基本的に匿名となりますが、実名を希望される場合はご相談ください。

●テーマ…
 こちらから作成してほしいトピックを指定します。
 参照情報、作成時の注意点等を提示しますので、それを参考にして記事を作成してください。
 報酬は、経験・記事の内容等により、個別に設定いたします。

●応募方法…
 弊社webmaster@navit-j.comまで、簡単な経歴、応募動機、
 これまでに執筆した実績(ブログ、記事など)をお送り下さい。
 ご依頼する方へは、個別にご返信致します。


あわせて読みたい