北海道B&B協会の空き家紹介事業
公開協会の名前にある「B&B」とは「Bed and Breakfast」の略で、
寝る場所と朝食を提供する宿泊形態を表しています。
1.合言葉は「一宿一飯一趣」
英国の農家民宿が発祥で、
「広い我が家の空いている部屋を朝食とともに旅行者に提供する」という合理的な方法で収入を得ていました。
日本でも昔、似たような習慣がありましたが、
それは収入を得るビジネスというよりは、通りすがりに立ち寄る偶然がもたらすものでした。
同協会は、都市で暮らす人々に自分達の地域の暮らしを知ってもらい、
逆に自分達も都市の人たちの考え方を知りたいという「人の交流」を目的として1998年に発足し、
日本流のB&Bシステムを構築することを目指してきました。
合言葉は「一宿一飯一趣」です。
交流を産む手段としての「一宿一飯」に「住んでいる環境の異なる者同士がお互 いに信頼し、
趣のある交流をしていこう」という願いがこもっているそうです。
今でこそインターネットの発達により民泊が盛んになってきましたが、
そのシステムも無かった当時、さらに旅行業法などの規制もありました。
事業の目的はあくまでも「人々の交流」であるため、料金をいただく場合は「交流料」とするなど、
新しいしくみを創り上げていきました。
2.農家を利活用できる「空き農家バンク」
当初空き農家や空き部屋を利用した「交流」を目的として活動してきた同協会でしたが、
2001年には「空き農家バンク」を開始しました。
離農した空き農家や比較的規模の大きな農業施設などは、決して使い道がないわけではなく、
使われる機会に巡り合えずにいるだけかもしれない。
今度は その空き農家そのものを紹介して、使ってくれる人とマッチングすることにしたのです。
同協会が扱っているとはいえ、空き家利用者は、B&Bの交流事業はやらなくてもよく、
農業を営まなくても良いことになっています。
ただ単純に、空いている農家を活用してくれる人に紹介していきます。
提供する側も、その形態は売却、賃貸、条件付き貸し出しなど、様々で良いことにしています。
見方を変えれば、見る人が違えば、同じ家にも違った活用法が見えてきます。
ホームページなどで紹介され、数件の空き農家が活用されるようになりました。
利用者は主にB&B利用登録者である、都市からの希望者。
空き家の提供者は主に離農などによる家屋の所有者です。
同協会で利用希望者に対して入念な面接を実施していて、
移住後の地域との摩擦の心配が少ないと思われる人を厳選しています。
家屋の提供側としても、地域のリーダー的な人と事前に相談をした紹介を実施するなど、
マッチングに工夫をしています。
3.北海道ならでは「農地トラスト」の設立
2002年、同協会は「農地トラスト」も立ち上げています
欧州では、農村に滞在しバカンスを過ごすという余暇の過ごし方が普及しています。
こういった活動を「グリーン・ツーリズム」と呼ばれていますが、
農業を営む農家の所得保障的な意味合いもあるのだそうです。
農地の環境保全にかかる費用を農村だけが負担するのではなく、
最終的に消費をする都市部でも負担をするべきという考えに基づきます。
同協会でも、その負担を抵抗なく受けれ入れられるような仕組みが作ったのです。
会員制とし、年会費を払うことで、お米と交流プログラムのパスポートが受け取れます。
生産者が見えて交流と共に安心なコメを受け取ることができ、
生産者はお米を計画的に生産できるうえ、食べてもらう人がわかることで、
生産に対する意識も変わるという良い流れができました。
4.まとめ
こうした複数の事業と活動があいまって、地域の魅力が増していけば、
移住してくる人にとって移住後の暮らしの未来予想図が魅力的なものです。
人、大自然、すべてが資産と考えて空き家単独の対策ではなく、
複合的に進めていく事例と考えられるでしょう。
空き家なうでは今後も空き家問題に関する記事を更新していきます。
どうぞお楽しみに。
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