神奈川県松田町の自治体の取組み
公開国土交通省が行っている「先駆的空き家対策モデル事業」支援事業の中から、
自治体が事業主となっているものを紹介します。
今回は、平成29年度「空き家の発生防止」に取り組んだ松田町です。
神奈川県足柄上郡松田町…東名高速道路の大井松田ICを有し、
新宿から小田急電鉄が通る、都心から車でも電車でも1時間〜1時間半
ほどに位置する、人口10,950人(2018年)の町です。
この事業では、独居老人や高齢世帯が増加傾向で、所有者が死亡することで起こる、
空き家の発生を未然に防ぐことを事業の目的としています。
松田町ではこの事業で取り組むべき課題について、大分類で2つ挙げ
取り組んでいます。
1)高齢化による空き家予備軍の増加
2)賃貸物件の空き室増加
この2つの課題の具体的な対策を見ていきましょう。
1.高齢化による空き家予備軍の増加
高齢化による空き家発生予防に対しては、4つの対策が計画されました。
(1) 空き家発生予防のためのリーフレット作成
高齢者に見やすく、手に取ってもらいやすいデザイン、わかりやすい文章の工夫、
また自分の問題として考えられるように配慮されています。
相談・お悩みチェックシートが最後に添えられていて、
相談窓口に行くという行動に繋がる構成となっています。
(2) 終活講演会兼空き家予防講演会
年度内に3回、神奈川県司法書士会などの講師を招いて講演会を行いました。
毎回30人~40人の参加者が集まり、講演後の個別相談に繋がっています。
(3) 個別相談会
講演会後に個別相談会を実施することにより、ケースごとの相談に
応じる機会を提供しています。
(4) 相談体制構築
アンケートやチェックシートにより集まった相談事項の受け入れ態勢として、
紹介先を整えました。
神奈川県が実施する空き家相談協力事業者登録制度に登録する各分野の専門家が
紹介先としてリストアップされました。
これら空き家発生予防の4つの対策により、行動を起こすことの必要性を
広く知ってもらうことができたものの、本格的な相談や実施に至った件数は
まだ少ないようです。
ただし、講演会には毎回参加している人も多く、継続してステップを踏んでいくことが
今後の展開として示されています。
2.賃貸物件の空き室対策
賃貸物件の空き室増加対策としては、下記の2つの施策がとられました。
(1) 賃貸住宅制度等説明会
年度内に、2回の説明会が行われました。
第1回は主に行政の取り組みや制度に関して、第2回は民間の不動産業者を講師に
迎えて成約率を上げるための工夫などが紹介されました。
(2) ホームページ改良
空き家バンクを利用する物件登録者や入居希望者に広く知ってもらうため、
ホームページに紹介ページを掲載しました。
町内の民間賃貸住宅の空室率は約半数と問題が大きいのに対して、
賃貸物件所有者の説明会への参加者数が少なく、不動産事業者等との連携などにより、
物件所有者の問題意識を上げることなどが今後の課題として示されています。
ホームページでは紹介にとどまらず、支援制度の構築に繋げていくことも検討されています。
空き家なうでは、今後も自治体の空き家対策をご紹介していきます。
お楽しみに!
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