家を解体した時の固定資産税とは?

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家を解体した場合、固定資産税が上がるとよく言われます。

今回は建物を解体した場合にかかる「固定資産税」について解説します。

解体工事に関係する税金

解体工事に関係する税金は「固定資産税」「都市計画税」の2つです。

土地や建物の所有に対してかかるこれらの税金を納めるのは、所有者の義務とされており、解体工事によって建物を解体し更地にした場合であっても、少なくとも固定資産税は納める必要があります。

固定資産税は土地や家屋などの固定資産の所有者に対してかかる地方税です。納税義務が課せられる人は、財源賦課期日である1月1日時点に、土地、家屋もしくは償却資産の所有者として固定資産課税台帳へ登録されている人です。

固定資産税の対象になるもの

固定資産税の対象となるものは、土地、建物、償却資産の3つに大きく分かれます。

土地
宅地に限らず山林や原野であっても所有している土地がある場合には、固定資産税の課税対象となります。

宅地、農地、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、塩田、雑種地などが対象となります。

建物
建物にも固定資産税はかかります。

固定資産とみなされる建物は、基礎工事で固定されている、3方向以上の壁と屋根を有している、目的に合わせて使えるようになっているといった条件を満たしているものになります。

住宅、倉庫、店舗、工場、発電所・変電所、そのほかの建物が対象となります。

償却資産
事業に用いられる償却資産も固定資産税の対象になります。

償却資産に該当するものは、減価償却額または減価償却費が、法人税法や所得税法の規定による所得の計算上で、損金や必要経費として算入されるものです。

構築物、航空機・船舶、機械・装置、器具・工具、備品類などは償却資産となり固定資産と見なされます。

解体工事をすると固定資産税が上がる?

解体工事をおこない建築物がなくなることにより、建物の分の固定資産税はかからなくなりますが、土地にかかる固定資産税の金額は上がります。

固定資産税の金額が上がる原因は固定資産税の特例が受けられなくなるためです。

住宅が建っている土地であった期間は、固定資産税の特例措置を受けることで土地にかかる固定資産税が軽減されています。

なお、固定資産税の課税標準額は住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地で価格の1/6、それ以外の一般住宅用地で1/3とそれぞれ軽減されています。

負担調整措置

解体工事によって税金がいきなり6倍になるというわけではありません。

国は「負担調整措置」という税金が緩やかに上がっていくような措置を用意しています。

そのため、実際に解体をおこなった後でも税金の負担が増えるのは3倍から4倍程度です。

ただし、平成24年度税制改正によって、住宅用地の負担調整措置について段階的に据置特例が縮小もしくは廃止される予定です。

解体によって建物の固定資産税はなくなる

建物を取り壊すことによって特例措置を受けることができなくなりますが、建物がなくなるため建物部分の固定資産税は発生しなくなります。

このため、土地の評価額が低い場合は、建物を解体することによって支払う税額を少なくできる可能性もあります。

一般に都心部にある古い家などの場合は、建物の固定資産評価額は少なく、土地は都心部であるため高く評価されているため、総合的に固定資産税が上がります。

解体後の税金対策

建物を解体したあと、更地の状態のまま土地を保有していると高額な固定資産税が毎年発生し続けていくことになります。

対策としては、公益のための固定資産にする、駐車場として活用する、農地へ転用する、建て替えてアパートにする、解体のタイミングを考慮する、解体後に土地を売るなどが考えられます。

解体工事と税金の関係を知っておこう

保有している建物が空き家である場合は、解体工事が税金対策となることがあります。

特例措置の適用で減税されている土地は、建物の解体工事により固定資産税の額が上がってしまいますが、更地にした土地を上手に利用すると節税につなげることもできます。

建物を解体すべきか迷っているときは、解体工事と税金の関係を理解し、納税面でのメリット、デメリットを考えていただければと思います。

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