空き家対策特別措置法とは?

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空き家問題は、看過されない今後の課題として政府も受け止めており、平成26年11月に、国会で「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が成立、平成27年2月より「空き家対策特別措置法」が施行されています。

1.空き家対策特別措置法とは

超高齢社会を受けて、介護の問題とともに社会問題としてクローズアップされているのが、空き家問題です。

高齢の親が死去するなど、独立した子どもが実家の相続をしたが、地方に住まないなど、家(建物)だけが取り残され、
手入れが行き届かないなどの問題が指摘されています。

空き家問題は、看過されない今後の課題として政府も受け止めており、平成26年11月に国会で
「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が成立、
平成27年2月より「空き家対策特別措置法」が施行されています。

空家対策特別措置法が成立した背景には、緊迫した日本の空き家事情があります。

●日本の空き家は全国で820万戸近くともいわれ、人の手が入らず、老朽化が進んだ空き家は事故や崩壊の原因となっています。
空き家は倒壊など、持ち主だけでなく、近隣住民を巻き込んだ被害を引き起こします。

●親が介護施設に入所して実家が空家になった場合でも、税法上、建物がある土地は、
土地の固定資産税が最大で1/6まで優遇される特例があるため、膨大な解体コストをかけてまで、空き家を撤去しようとしません。

●木造の場合、20年もすれば建物の市場価値はなくなって土地だけの価値になるが、地方は土地の価格が安く、
結果として、地方には大量の空き家が残ってしまいます。

ただし、空き家を勝手に撤去することは財産権の侵害になるため、これらの空家事情を考慮して、
市町村の空き家対策に法的根拠を与えたのが「空家対策特別措置法」です。

この特別措置法によって、市町村の自治体は、空き家の調査と現況の把握ができるようになりました。

2.特定空家の指定

また、空き家の実体調査だけでなく、実質的な空家への行政権限を持つようになり、
管理されていない空き家を「特定空家」と指定できるようになりました。

特定空家の特徴は、以下のように定義されています。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

そして、特定空家への行政対応には、状況に応じて次のような段階があります。

●助言と指導・・・除却(解体)、修繕、立木竹の伐採等の助言又は指導。

●勧告・・・勧告の対象になると、固定資産税の特例対象から除外され、その状況が改善されるまで、従来の土地の税金6倍を支払うことに。

●命令・・・改善の命令はこれまでの行政指導よりも重く、命令に背くと50万円以下の罰金が科される。

特別措置法の強制力がもっとも強く現れるのが、次の最終処分です。

●行政代執行・・・命令を受けた空き家に改善が見られない場合、行政が所有者に代わり、樹木の伐採や塀の撤去、建物の解体などを対処。行政代執行の費用は税金で賄っているため、解体処分等の費用は所有者に請求する。

現在では、空家対策特別措置法に基づいて、全国で行政代執行が行われています。

全国で初めて行政代執行が行われたのは、2015年10月の神奈川県横須賀市です。
解体された建物は木造の一戸建てで、かかった費用は約150万円。
また、2016年2月には、大分県別府市で、 大分県内初となる行政代執行が行われ、
住居件店舗として利用されていた木造アパートが解体されました。かかった費用は約510万円。

このように、たかが空き家と思っていても、放置しかねない状況は近隣の住民の迷惑になり、
地域の行政問題へと発展していく危険性があるのです。

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