所有者不明の土地はどのように処理されるのですか?(前編)
公開今回は、空き家が放置される原因となっている、
所有者不明の土地問題について考えてみましょう。
所有者不明の土地 は現在はなんと九州本島の面積に匹敵し、
空き家の放置だけでなく、森林の所有者の把握が難しくなったり、
大規模農業のための農地の集約化や、耕作放棄地対策の障害などといった問題になっています。
1.所有者不明土地対策で関係閣僚会議
政府は今年2月19日、所有者不明土地対策に対する関係閣僚会議を開き、
下記の検討事項について、検討状況を報告しました。
①相続登記の義務化
②土地所有権を放棄できる仕組み
③土地の共有者の一部が同意すれば活用や処分を可能とする制度の導入
法務省と国土交通省は来年、所有者不明土地の増加防止策を盛り込んだ
民法や土地基本法などの改正案を国会に提出する予定です。
近年は、高齢化に伴い、住宅地の相続未登記が都市部でも増えつつあります。
所有者不明の土地は、公共事業を行うときに、
所要時間の延長を余儀なくされる原因になり、コスト増を招きます。
民間でも、土地の有効利用の障害になるケースが増えています。
今回の制度改正案は、こうした問題解決へのテコ入れとなることが期待されています。
2.所有者不明土地問題研究会の報告
この研究会は、増田寛也元総務相を座長に、また、委員やオブザーバーとして
学識経験者や専門家、関係自治体、総務省、法務省、農林水産省、林野庁、全国市長会を
迎えて2017年1月から10回の会合(ワーキンググループを含む)が開催されました。
同年末には最終報告~眠れる土地を使える土地に「土地活用革命」~を発表し、
深刻な所有者不明土地問題を報告しています。
それによると、登記簿上の所有者不明土地は410万ヘクタールにのぼり、
九州本島の面積(367万ヘクタール)を上回る広さです。
(2016年 国土交通省地籍調査:563市区町村の約62万筆を対象に実施)
また、高齢化とともに2020年~2040年の土地相続で未登記になる土地の割合は
27~29%に達する見込みで、未登記を防ぐ新たな取り組みが進まない場合、
2040年の所有者不明土地は720万ヘクタールと、ほぼ北海道本島に匹敵すると予想しています。
これに伴う経済損失は2016年の1800億円から、
2040年には3100億円に膨れ上がると試算しており、
20年間の累積損失は6兆円という膨大な金額になります。
報告書は所有者不明土地にからむ事例から見た問題点を、5項目挙げています。
(1)不動産登記簿の情報が必ずしも最新ではない。
(2)土地所有者の探索に時間と費用がかかる。
(3)探索しても真の土地所有者にたどりつけない可能性もある。
(4)既存制度がかならずしも活用されていない。
(5)弊害が多岐にわたる。
(国土荒廃、課税漏れ、獣害、治安悪化、廃墟、土地利用・取引の停滞…等)
報告書は最後に、「あるべき社会の絵姿」として次の3つを提言して締めくくっています。
(1)円滑に利活用できる → 制度の見直しと創設
(2)増加させない → 相続登記の促進
(3)すべての土地の真の所有者が分かる社会 →「土地基本情報総合基盤」(仮称)の創設
所有者不明の土地問題(後編)では、
こうした所有者不明の土地を、円滑に利用するための法案についてご説明します。
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