空き家を査定に出す時の注意点とは?

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2015年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」が施行されたことにより、空き家を不適切に放置してしまうと、さまざまな罰則が課されることとなりました。

自治体から「特定空家等」に指定された場合は、固定資産税が増額となったり、場合によっては過料が課されたりしてしまいます。

一方で、空き家を売却しようとしても、どのくらいの金額で売却できるのか検討がつかないと、なかなか手放す決断をすることはできません。

その場合、不動産会社に「査定」の相談をするのがおすすめです。

空き家の査定方法

空き家の査定方法には、建物の状態を見ずに査定額を算出する「机上査定」と、実際に建物や庭の状態、立地条件などの詳細を確認しながら査定額を算出する「訪問査定」の2種類があります。

通常は、不動産会社に依頼すると、机上査定で査定額の目安を算出した後に、訪問査定を行うのが一般的です。また、インターネットを利用した「一括無料査定」など、机上査定のみを行うサービスも普及しています。

机上査定

机上査定では、物件の種類(一戸建て、マンション)、所在地、築年数、建物の面積、間取り、敷地周辺の道路幅など建物に関する情報のほかに、周辺地域における不動産の売り出し状況や、市場の動向などを元に査定が進められます。

早ければ1時間程度で査定額が分かりますが、あくまでも「目安」として捉えるべきものとなります。

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の担当者が現地に赴き、入念に確認し査定する方法です。

物件のメンテナンス状態や日当たり、眺望や周囲の騒音など、机上査定では分からない部分もチェックします。

訪問査定は対面のため、その場で疑問点や不明点を質問でき、担当者の対応や態度も確認できる点がメリットです。

一方で、査定期間には1週間ほどかかり、当日にはわからないデメリットがあります。

査定の際に必要な書類

具体的な査定額は訪問査定によって決まります。訪問査定の際には、権利関連の書類も確認されるため、準備が必要です。

主な書類は、身分証明書、実印・印鑑証明書(発行3ヶ月以内)、登記簿謄本、公図、土地の測量図・家の図面、境界確認書、不動産権利書固定資産税通知書・固定資産税評価証明書となります。

また、マンションの場合は、管理組合規約や修繕積立金などの書類も必要です。

査定に出す時の注意点

空き家をベストな状態にしておくこと

訪問査定の日が決まったら、部屋の掃除や設備関係のチェック、庭の手入れなどを行い、空き家をよりベストな状態にしておくことが重要です。

長い期間人が住んでいないと、床下や天井裏など目の行き届きにくい場所に、カビが繁殖して悪臭がこもっていたり、水漏れが起きていたりと、思わぬトラブルが潜んでいる場合もあります。

こうした点に気付かず空き家を放置していたこと自体が、査定する人の印象を悪くしてしまう恐れがあるため、できる範囲で改善した上で査定を受けるようにします。

空き家の名義人は自分にすること

空き家売却の前提条件として、空き家の名義人が自分でなければなりません。

名義変更がされているかは最も重要な確認事項です。もし相続人が複数いた場合は、相続した空き家の名義変更の際に、相続人全員の同意書である「遺産分割協議書」が必要となるため注意が必要です。

なお、名義変更は法務局で申請できますが、税金などの費用が発生します。

不動産会社の選択

不動産会社は入念に検討しよう

空き家の売却において不動産会社選びは特に重要で、最終的な売却金額にも影響します。そのため、入念に検討し、納得のできる不動産会社を選びます。

空き家の査定や売買を扱う会社は、「不動産仲介業」です。不動産の売買や賃貸の契約を仲介する会社で、査定や広告宣伝なども行います。

さらに、不動産仲介業者でも、マンションや戸建て、土地といった物件の種類による得意分野があります。

宅地建設取引士の資格があるか?

宅地建設取引士は、不動産の売買や取引を専門にした国家資格であり、この資格を持つ担当者は、専門知識があるため信頼性が高いです。

担当者の人柄も重要で、親身に相談に乗ってくれるなどの対応力もポイントです。

不動産の売却は数ヶ月、長期化すれば年単位となるため、ストレスなく取引を行うためにも、相性が良く信頼できる担当者を選ぶことが大切です。

サービス・サポートは充実しているか?

空き家を売却するためのサービスや、サポートが充実している会社かどうかもポイントです。

また、空き家の売却実績が豊富な不動産会社の中には、相続の専門家(相続士や相続鑑定士)や、弁護士などの資格者と提携したサポート体制があるところもあり、複雑な権利関係を処理しなければならない場合などに安心です。

サービス内容は各不動産会社によって異なるので、複数を比較し、理想のサービスを提供してくれる不動産会社を選びます。

最後に

空き家は放置することでカビや腐食の原因になり、建物の劣化を早めます。

さらに維持費や、固定資産税が発生したり、「空き家対策の推進に関する特別措置法」の施行により不適切な放置は罰則の対象ともなってしまいます。

そのため、住む予定のない空き家は売却するのが良いでしょう。

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