売らない理由のトップは「物置として必要だから」?

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空き家をめぐる問題で「売らない理由」というキーワードは、とても1回のコラムでは書き切れない大きなテーマです。

そこで今回は、空き家を売らないのは「物置として必要だから」という理由がトップで登場するデータを一つの話題として紹介しましょう。


1. 空き家=倉庫は身近に存在します

筆者が昔、大変お世話になった酒屋さん。

引っ越してから長く目にする機会がなかったのですが、ある時からシャッターが降りて、空き家になっていることに気づきました。

聞くと、店主が亡くなられて廃業し、いまは「倉庫にしている」とのこと。

実は、この例のような店舗兼住居に限らず、空き家をそのままにしている理由で一番多いのは「物置として必要だから」という調査があるのです。

ちょっと意外な理由の背景を探ってみました。


2. 国交省の空き家実態調査

国土交通省は、1980年(昭和55年)からほぼ5年ごとに、総務省の住宅・土地統計調査から戸建て空き家の所有者を無作為抽出して、①空き家の所在地・建築時期等②空き家の管理上の課題等③空き家の利用意向等――について、アンケート調査を実施しています。

直近の調査は2019年(令和元年)に発表されています。

この年の調査から名前を「空き家所有者実態調査」に変えていますが、空き家の所有者12,151件(回答5,791件)を対象に実施されました。

その中で「今後の利用意向」について質問したところ、最も多かった回答が「空き家にしておく」で、全体の28.0%。

次いで「セカンドハウスなどとして利用」が18.1%、「売却」は17.3%という結果でした。

そして「空き家にしておく」理由(複数回答可)の中でトップは「物置として必要だから」で、60.3%。「解体費用をかけたくない」46.9%、「更地にしても使い道がない」36.7%がこれに続いています。

5年前の2014年の同調査では、「物置として必要だから」の割合は44.9%でしたから、15.4ポイントも増えたことになります。


3. 売らない理由と売れない理由

しかし、空き家を売らない理由を「物置が必要だから」で片づけられるほど、空き家問題は単純ではありません。

同調査の「空き家にしておく理由」には、物置を含めて約20の項目が回答されています。

その中で「売りたいけれども売れない」理由と見られる項目を抜き出してみると、が以下のような理由が挙げられています。

つまり「売らない理由」と「売れない理由」は表裏一体の関係にあるということでしょうか。

・住宅の質の低さ(古い、狭いなど) 33.2%
・道路付けの悪さ          12.8%
・交通の便の悪さ          12.9%
・満足できる価格で売れそうにない  12.6%
・買い手・借り手の少なさ      13.4%

空き家を取得した方法で最も多いのは、昔も今も相続です。

国交省の19年調査でも「相続」が全体の54.6%を占めています。

相続によって取得した家屋は所有者が意図して手に入れたものではありませんから、所有者にとっては悩ましい問題がいくつもあります。

一つは「古いものほど相続の割合が高い」こと。

1950年(昭和25年)以前の建物の78.7%が相続によって取得されたものなのです。

二つ目は「面積が大きいほど相続の割合が高い」こと。
延べ床面積が150㎡以上では69.7%になります。

三つ目が「大都市圏以外に所在するものほど相続の割合が高い」ことで、59.7%。いずれも「売れない理由」となる事情であると同時に、「売らない理由」ともなっているのです。


4 . まとめ

今回は国交省の調査を基に、空き家を「売らない理由」の中の1つの側面を紹介しました。

しかし、所有者が空き家を売らないと決めた理由には、例えば「相続をめぐるトラブル」とか「親兄弟と過ごした家への思い入れ」など、それぞれが複雑で「売れない理由」につながる、さまざまな事情が重なり合って存在します。

もちろん、あるのは後ろ向きの理由だけではありません。

空き家を活かすための方策を探る、言ってみれば前向きの「売らない理由」もたくさんあるのです。

空き家なうでは今後も空き家に関する情報、体験談をアップしていきます。
どうぞお楽しみに。

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